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2019.03.22
院長ブログ

院長読書日記①ニムロッド

読んでいるときには無我夢中でも、読み終えると全く興味をなくす小説と、読んでいる最中はさほどでもないのに、読後にじわじわ効いてくる小説とがある。 今回紹介する芥川賞を受賞したばかりの「ニムロッド」は明らかに後者だ。サラサラと読みやすいが、うっかり読み飛ばすと作者の意図を図り損ねる。 ラスト近くの、ネットを介したスクリーン越しの会話のシーンの緊迫感は、名作「パリテキサス」のマジックミラー越しの会話のシーンとイメージが重なる。 ふわふわしているようで、作者の強く伝えたい意思が感じられて心を揺さぶられる。 面白さと純文学的深さが共存するまれな小説 こういう小説を私は間違いなく待っていた。